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2008年11月12日 (水)

TAIWAN BANANAS

(注)この記事は、旧サイトで 2007/10/29 に書いたものです。

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▲バナナを房の単位で買うと、表皮にいつも決まって付いてくる一枚の小さなシール。子供の頃、このバナナラベルが貼られた特別な1本を巡って、兄弟間で争奪戦になった思い出があったりしませんか?

 私がまだ小さかったときのこと、日常生活で一番身近だった「台湾」はバナナでした。いや、今や世界でも有数の半導体立国となった台湾に対するイメージがバナナとは、何と失礼な!と思われるかも知れませんが、その頃に小学校で使われていた社会科の教科書には、北朝鮮=工業国、韓国=農業国なんて書かれていました。もちろん、インターネットも携帯電話もなく、海外旅行が現在ほど一般的なものでなかった時代の話です。

 当時、くだもの屋の店頭で売られていたバナナは、デルモンテ(Delmonte)やチキータ(Chiquita)といった、欧米の巨大バナナ資本のブランドを冠したものが多数を占めていました。別の言い方をすれば、どこで栽培されたものか名前を見ただけでは分からない、"国籍不明"の商品群です。

 そんな中で生産国をずばりブランド名とした台湾バナナはちょっと目立つ存在でした。特に子供心を惹き付けたのは、バナナの表面に貼られていた小さなシール(通称「バナナラベル」)。台湾産のバナナの場合、台湾の島の形を背景にアルファベットで「TAIWAN BANANAS」と記されたシールだったことをよく覚えています。この「TAIWAN」のバナナラベルが、私にとっての最初の「認識台湾」でした。

▼デルモンテのバナナラベル。流通量が多く、かつ安価だったこともあり、我が家でバナナといえば、ほとんどの場合はこれでした。
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▲でも、ごくごく稀にデルモンテ以外のバナナが食卓に上がることもあったんですよね。台湾バナナはそんな貴重なブランドの一つ。ラベルもデルモンテにはないプレミア感がありました。

 その台湾バナナ、日本市場ではフィリピンや中南米産の安価なバナナに押されて、このところずっと苦戦が続いているようです。日本バナナ輸入組合による統計によると、フィリピンやエクアドル産のバナナの単価は60円/kgなのに、台湾産は120円/kg、品質の違いはあるにしても、確かに高いといえば高い。

 しかも、台湾の経済成長に伴い、今まで台湾産の農作物に対して、日本政府が適用していた優遇関税が、2000年4月をもって撤廃されたことから、ますますその差は広がるばかり。台湾バナナにとっては厳しい世の中になりました。かつて台湾を象徴する存在だったバナナも、サトウキビ産業と同様、このまま「落日」を迎えてしまうのでしょうか。

 私の行きつけのスーパーでも、台湾バナナはレアな商品となって久しいのですが、先日、珍しく果物売り場に大量に積んであるのを見かけて、速攻でゲットしました。

 台湾バナナは、他の地域のバナナと違ってとってもデリケート。輸送中の衝撃にも弱いらしく、日本に到着する頃には、すっかり黒く変色してしまっていることが多いのですが、それでもあの甘美な味と「TAIWAN」のバナナラベルに惹かれて、たまに店頭で売っているのを見つけると、ついつい買ってしまいます。

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